大安寺動物霊苑にて祥月月忌法要が行われました。
新型コロナウイルス感染予防として
・受付での手指の消毒
・サーモグラフィーカメラによる検温
・スタッフのフェイスシールド着用
を実施させていただき、皆様に安心してお立会いいただけるように対策をさせていただきました。
来月のお祥月も皆様のお越しをお待ちしております。
YouTubeにて祥月の様子を動画にて掲載しておりますのでご覧ください
《次回の法要の日程をお確かめください》
⇓ こんな法話をいただきました ⇓
境内にあります樹齢２００年の紅葉たちが寄生しているのですけれども、
大変綺麗に色づいてきました。
境内には銀杏（イチョウ）の木もあります。
お寺は昔から銀杏の木というものを必ず植えるのです。
なぜかというと、火事になった時に水を吹くといわれているのです。
ですからお寺の守り木としても銀杏というものを植えるわけであります。
銀杏の葉っぱが綺麗に紅葉してくる。
みなさん好きですか？紅葉。
色づいていくのを見ると大変美しいこの光景というものを
「いいいなぁ」と思うわけですが、
ではみなさん。
あの山を見て「歌を詠ってください」と言われたら詠えますか？
俳句でも、短歌でもいいですよ。
中々難しいですよね。
でも、俳人達はすごいもので素直な人ほど
心にすーっと受け入れた心の景色を
そのまま言葉に出していくことができる。
どうしても私はそこにかっこいい言葉を
選ぼうとしてしまうわけですが、
そうはいかないんですね。
そんな中で与謝野晶子さん。あの歌人の方ですね。
銀杏の葉っぱが散りゆくその様を見て
こういう歌を詠んでいらっしゃいます。
金色の ちひさき鳥の かたちして 銀杏ちるなり 夕日の岡に
いい歌ですね。
銀杏がチラチラチラと散っていくのを
まるで金色の小さな鳥が舞っているかのようで
それが夕日の丘に静かに消えていく。
なんて情緒ある歌なのでしょうか・・・
これくらいの心情にならなくてはと思うのですが
私今年３８歳になりましたが、
お寺で毎年銀杏を見ますけれどもそんな風に思ったことは一度もありません。
思いません。
掃除をすれば「あ！こっちにきた！」とそんなのばかりです。
つまり至らない。
まだまだ私は与謝野さんのようには至らないけれど
「あぁ、また散った」
と思ったらこういう歌もあるのですね。
掃けば散り 払えばまたも塵積る 人の心も庭の落ち葉も
上手ですね。
同歌というものです。
心の歌というものでありますけれど。
落ち葉を掃いても後ろを振り向くともう降り積もっているのです。
掃いても掃いても散っていくのです。
そうすると、人の心も庭の落ち葉も掃き続けていかなければならないと。
そういう風にいとどまらない心というものが
大事なんだろうなと思うんですけれども・・・
中々そうはいかないものですよね。
うちのお寺で銀杏の葉を掃除するのですが、
みなさん銀杏の葉っぱを掃いたことある方いらっしゃいますか？
重いんです・・・銀杏の葉っぱって。
雨を含むとさらに掃きにくい・・・
中々これは手ごわいなと思いまして、
この前檀家さんがブロワーを使っているのを見て
「これはいいな！」と思ってブロワーを一台購入したんです。
そうしたら、今まで
２時間かかっていたものが１時間で終わるのです。
それに激高したのはうちの父親でした。
「何をしているんだ！
禅宗坊主が何をそんな体（てい）たらくな事ををしているんだ！
箒で掃かんか！」
いやちょっと待ってください。
便利なものを使って何が悪いんだ？
といったら父は
「お前は何も分かっていないな。
お客さんが来た時にブロワーで
『ブワー』
とやっているそんな音を聞いてなにが情緒があるのだ。
お坊さんが箒で
『ザッザッザッ』
とこの砂利を掃いているからこそお寺の
美しさというものが深まれてくるのだろう？」
というのです。
あぁそうか・・・
今年７３になる父ですけれど
人生経験が違うとやはり言うことが違いますね。
人が来るときは箒を使い、
いない時はブロワーを使うようにしたのです・・・
それから１週間ですね。
本山のほうに私は研修があって
１週間お寺を開けることになったので、
父に「朝の掃除をお願いします。」ということで出かけました。
あぁ、父は大変だろうな・・・
でもきっとブロワーは使わないんだろうと私は思っていたのです。
もう分かりますかみなさん？
帰って来たら父がですねブロワーを
もう一台購入していたんです・・・
これはびっくりしました。
でもその姿を見た時に
「あぁ、父さんは本当にこだわりないな」
と思ったんですね。
そういう風に自分というものをアップロードしていくんですね。
そして私にニコニコしながら
「いやぁ、これはいいもんだ。
でも、お客さんの前では使っちゃいかんぞ。」
と言っておりました。
そういう風にその場に応じて自分の心に転換していく。
でも都合のいいようにという訳ではないんですね。
こだわらずに、常に自分が今為すべきことは何なのか・・・
ニコニコしながらブロワーを使っている
父の姿を見ていたら反論する気も失せてきましたが・・・
そういう心を私達は大事にしていきたいなと思うのです。
掃けば散り 払えばまたも塵積る 人の心も庭の落ち葉も
さぁ、ぜひこのご供養を通して
皆さんの心の掃除にしていただければ有り難く存じます。
今日は長々と御清聴ありがとうございました。
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