どうぶつと私たち人間はずっと昔から共に生き、親愛の気持ちと共に関係をはぐくんできました。
ペット、あるいは伴侶動物として家族の一員としてお家へ迎え入れることはもちろん、
自然に生き、壮大な生命のドラマを私たちに教えてくれる野生動物たちも、
同じ地球上で私たちとつながっています。
そうした、かけがえのない存在であるどうぶつたちへの尊敬と友愛の心から、
さまざまなどうぶつの記念日が制定されてきました。
ここではそんな記念日のなかでも、「ワールド編」として世界中で記念されている代表的なものをご紹介したいと思います。
【1月】
1月5日:鳥の日 (National Bird Day)
アメリカで2002年に、Born Free USAとAvian Welfare Coalitionという2つの組織の協力で制定された記念日です。
Born Free USAは野生動物の保護と福祉を推進するために活動している非営利団体であり、特にペットとしての鳥の取引や飼育の問題に焦点を当てています。
また、Avian Welfare Coalition(日本語に置き換えると鳥類福祉連盟となるでしょうか。)は鳥類の福祉向上と保護を目的とした非営利団体です。
このBorn Free USAによると、世界に10,000種存在しているとされる鳥類のうち、12%近くが絶滅の危機に瀕しているとされます。
そのような野生の鳥たちが直面している脅威についての認識を深めることが、鳥の日 (National Bird Day)の大切な意味です。この脅威というのは主に、森林伐採や都市開発、気候変動、密猟などが含まれています。
ほかにも、多くの人々が鳥をペットとして飼っていますが、そうした鳥たちの適切な飼育方法とその福祉に関する教育も重要な要素であり、そのような意識向上もこの記念日の目的のひとつとされています。
このような目的意識のもと、バードウォッチングを行ったり、学習を行ったり、セミナーを開催したりと、様々なイベントが開催されるのが、この鳥の日(National Bird Day)です。
【2月】
2月27日:国際ホッキョクグマの日 (International Polar Bar Day)
ホッキョクグマの保護と気候変動についての意識を高める日です。
この記念日は2004年にポーラーベアー・インターナショナル(Polar Bears International、PBI)という非営利組織によって制定されました。
ホッキョクグマは、地球温暖化や海氷の減少によってその生息地が急速に縮小しているため、絶滅の危機に瀕しています。
ちなみに、ホッキョクグマについての実態を把握するのは難しいとされていますが、世界の生息数はずっと増加していないんだそうです。
また、このまま北極の氷が溶け、ホッキョクグマの生息地が減少し続けた場合には、彼らは2050年から2100年の間には絶滅するだろうと推定されています。
このようにみると、私たちの知らないところで、ホッキョクグマたちは生存の危機に脅かされていることが分かりますね。
国際ホッキョクグマの日は、この問題に対する意識を高め、保護活動を推進するための記念日という役割を持っています。
個人でもこの日に参加する方法があります。
例えば、エネルギー消費を減らすために家の電気を少しの間消す、または地球温暖化について学び、その知識を友人や家族と共有する等。
こうした小さな行動が積み重なることで、ホッキョクグマの未来を守る大きな力となります。
【3月】
3月3日:世界野生動物の日 (World Wildlife Day)
野生動物の多様性と保護の重要性を訴えるための、国連(UN)によって制定された記念日です。
2013年12月20日に国連総会で採択された決議によって、毎年3月3日を世界野生動物の日とすることが正式に宣言されました。
国連で採択された記念日ということで、特定の地域や国だけの記念日ではなく、まさに世界的な広がりと影響力を持つ記念日であることが分かりますね。
このような国連主導のリーダーシップの下、国連環境計画(UNEP)や世界自然保護基金(WWF)などの国際的な環境保護団体も、この日を中心に様々なキャンペーンやイベントを展開しています。
世界野生動物の日の目的は、野生動物やその生息地の保護の重要性を広く認識させ、絶滅の危機に瀕している種の保護活動を促進することです。
野生動物は地球の生態系のバランスを維持する上で非常に重要な役割を果たしています。彼らは食物連鎖の一部であり、植物の受粉や種の分散、土壌の保全など、地球環境の多くの役割を担っています。
しかし、密猟、違法取引、気候変動、森林破壊などの人間活動によって、野生動物の生息地や種の多様性が脅かされています。
私たちにも何かできることがあるか、考えてみることが大切な第一歩といえるでしょう。
【4月】
4月12日 世界ハムスターの日(World Hamster Day)
この日は、ハムスターという小さな可愛らしいペットに対する愛と感謝を表現するために設けられました。
ハムスターの正しい飼育方法や健康管理の重要性が広く知られることを目指す、というのもこの日の目的のひとつであるといえます。
実はこの日は正式に制定された記念日というわけではありませんが、2006年にハムスター愛好家やペット業界の関係者などの、ハムスターに関心を持つコミュニティ全体で自然発生的に広まったものだと考えられています。
インターネットやソーシャルメディアの普及により、こうした記念日はより多くの人々に認知されるようになり、今日では世界中のハムスター愛好家がこの日を祝っています。
特にハムスターを飼っている人々にとっては、ぜひ覚えておくと素敵な記念日です。
お家のハムスターちゃんたちに特別なおやつを与えたり、新しいおもちゃをプレゼントしたりすることで、感謝と愛情の気持ちとともに、より強い絆でつながる素敵な記念日になることでしょう。
【5月】
5月23日:世界カメの日 (World Turtle Day)
カメの保護と絶滅危機にある種についての意識を高めることを目的とした記念日です。
1990年にアメリカの非営利団体アメリカン・トータス・レスキュー「American Tortoise Rescue」(ATR)によって制定された記念日で、カメとその生息地の保護意識を高めるために設けられました。
この「American Tortoise Rescue」は、カメが直面する様々な脅威、例えば生息地の破壊や密猟、ペットとしての不適切な取り扱いなどからカメたちを守ったり、そうした問題に関する啓発活動を行っています。
とりわけ、ペットとしての需要が密猟や密輸、違法な販売行為の温床となるケースもあり、「American Tortoise Rescue」はペットショップからであっても「買わない」という姿勢を推奨しているようです。
私たちの住む日本でもこの日にちなんだイベントが各地の動物園でも開催されていて、この日をご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
【6月】
6月8日:世界海洋デー (World Oceans Day)
海洋環境と海洋生物の保護について考える日です。
この記念日は、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミット(リオ会議)で最初に提案されたのが、制定のきっかけです。
その後2008年に、6月8日を公式に世界海洋デーとすることが国際連合で決定され、正式なっ記念日となりました。
この記念日においては、とりわけ健全な海洋環境の保全の重要性が強調されます。
平たく言えば綺麗な海をたいせつにしよう、という事になるでしょうか。
海洋は酸素の供給、気候の調整、食糧資源の提供など、多くの恩恵を私たちに与えてくれます。
そして海洋の環境を守ることで、海で生きる生き物たちの生命を守り、絶滅危惧種の保護にもつながります。
近年特に注目されているプラスチックごみや化学物質による汚染は、魚や海鳥、海洋哺乳類に深刻な被害をもたらします。
これらの動物たちはしばしばプラスチックを誤って食べてしまい、消化器官の障害を引き起こしてしまいます。
また、化学汚染物質は食物連鎖を通じて広がるため、海洋生態系全体に悪影響を与えます。
ですから海洋の健全な状態を保つことは非常に大切で私たちも無関係ではないのです。
私たちもできることがたくさんあります。
海洋環境や生態系の今について知ること、プラスチックごみを減らすこと、地域や近隣の海でのごみ拾いに参加すること等々。
もちろんこうした記念日を知り、私たちに何ができるのか考えること自体も、大切な活動といえるでしょう。
【7月】
7月15日 ペット火災安全の日(NationalPet Fire Safety Day)
ペット火災安全の日は2009年に、アメリカの愛犬家団体アメリカン・ケネル・クラブ(American Kennel Club)と、
同国のセキュリティ会社であるADTセキュリティサービス(ADT Security Services)によって制定されました。
この日の目的は、火災からペットを守るための具体的な対策をペットの飼い主に教えることとされます。
アメリカの全国火災防止協会(National Fire Protection Association)の2010年ごろの調査では、
年間1,000件近くの火事が飼育されているペットが原因で起こっており、
さらに500,000頭のペットたちがそうした火災で何らかの影響を受けていると発表されました。
このように、家庭のペットが原因で起こる火災を予防する対策が非常に重要になります。
このペット火災安全の日では、そうした意識のもと、ペットが火災の原因となる可能性のある危険物に近づかないようにする、ペット用の避難キットを準備する、
火災報知器の点検を定期的に行う、などの具体的な方法を周知するための取り組みが行われます。
他にも、ペットがコンロのスイッチを押してしまわないようにする、電気コードをかじらないようにするといった家庭内の対策は、
私たち人間とたいせつなペットたちの双方の安全と安心を守る大切な取り組みになりますね。
このようにペット火災安全の日は、ペットとその飼い主の安全を守るため、非常に重要な役割を果たしています。
【8月】
8月8日 世界ネコの日(International Cat Day)
猫の日は世界各地、世界各国でそれぞれの日時で数多く定められていて、
それぞれが猫を愛する人々が猫の健康と福祉について考える機会になっています。
この日は、2002年に国際動物福祉基金( IFAW, the International Fund for Animal Welfare)によって、
猫に対する愛情と感謝の気持ちを表すために設けられました。
この日を祝う方法はたくさんあります。身近な方法で参加してみるとよいでしょう。
猫を飼っている方は、
特別なご褒美やおやつ・おもちゃをあげる、普段以上にあそんであげる、
健康チェックを行ったり、生活環境の点検をしてあげる、など。
また猫を飼っていない人でも、猫の保護団体などに寄付をする、里親になる、
猫カフェにでかけて交流を深める、などできることがたくさんあります。
【9月】
毎年9月の第4土曜日(Intrnational Rabbit Day)
この日は「国際ウサギの日」です。
ウサギに対する理解と愛情を深め、より多くの人々がウサギの福祉に関心を持つことが期待されています。
誰がどのように制定したのかははっきりとしていませんが、最初にこの日が祝われたのは1998年であるといわれ、ウサギの保護団体や愛好家たちによって広められたとされています。
またどの国が発祥なのかも明確ではありませんが、イギリスではじまり、その後オーストラリアへ伝わり、さらに世界へ広まっていったという説があります。
イギリス発祥というあたり、どこか有名なピーターラビットのお話を連想させますね。
ウサギはペットとしても飼いやすく、日本でも一般的なペットとして広まっています。
静かで、小さな飼育スペースですむ、よくなつきやすいといった性格は、大切な家族として迎え入れるのにも適しているといえそうです。
そんなウサギの愛らしさを再認識して、家庭においては適切な飼育と関係づくりを、
自然界においては健全な野生環境の保全を目指し、ウサギたちの幸せを願うのが、この国際ウサギの日なのですね。
【10月】
4日 世界動物の日(World Animal Day)
1931年にイタリア・フィレンツェで開かれた「国際動物保護会議」で制定された、動物の福祉を促進し、動物たちの権利や保護についての意識を高めることを目的とする記念日です。
この10月4日という日付は、カトリック教会において動物と自然の守護聖人として知られている、アッシジの聖フランチェスコの祝日にちなんで選ばれました。
もともとはキリスト教の祝日・記念日としてスタートした記念日でしたが、今では宗教や国を超えて世界中で祝われる祝日になっています。
この日には、各地で動物の適切な飼育環境についてのセミナーや、動物愛好家やペットオーナーが集まるイベントやフェスティバル、
動物保護団体による募金等のチャリティ活動といった活動が行われます。
【11月】
11月30日:国際動物遺伝資源の日 (International Day of Animal Genetic Resources)
動物の遺伝的多様性の保存について意識を高める日です。
ちょっと難しい名前の記念日ですが、動物の種に関する多様性だけではなく、その遺伝的な多様性について焦点を当てるという記念日です。
ここでいう遺伝的な多様性というのは、家畜や野生動物がもつ病害虫への耐性、環境適応能力、繁殖力など、さまざまな特性の基盤となる遺伝情報のことをいいます。
もしこうした遺伝的な多様性が失われてしまうと、食料供給が不安定になったり、特定の病気や環境変化に弱くなったりするリスクが高まり、生態系に悪影響が及ぶことになります。
こうした観点から、この記念日は、家畜や野生動物の遺伝的多様性が人類の食料供給、安全保障、生態系の健全性にどれほど大切であるかを広く知ってもらうことを目的としています。
この日にあわせて、家畜の遺伝資源の重要性を教育し、意識を高めるためのさまざまなイベントが実施されます。
【12月】
12月4日:インターナショナル・チーター・デー (International Cheetah Day)
チーターの保護と生息地についての意識を高めるための記念日です。
2007年に南アフリカの「Cheetah Conservation Fund(チーター保護基金)」によって制定されました。
チーターは地球上で最も速く走る動物として知られていますが、その数は急速に減少しており、現在では約7,000頭しか残っていないと言われています。
このように絶滅の危機に瀕しているチーターの保護とその重要性について広く認識を高めることを目的としているのがこの、インターナショナル・チーター・デーです。
チーターの絶滅の主な原因は、生息地の喪失、密猟、そして遺伝的多様性の低下であるといわれます。
彼らの生息地であるサバンナや草原が農地や都市開発により縮小されることで、食物や水源が不足し、生活が困難になっています。
また、密猟によって繁殖可能な個体が減少しており、遺伝的多様性の低下が種全体の健康を脅かしているのです。
このような問題に対処するためさまざまな保護団体が活動を行っており、その取り組みを支援する重要な機会となっているのが、インターナショナル・チーター・デーであるといえそうです。
まとめ
こうしてみると、世界中でたくさんの記念日があって、どうぶつの種類や、制定の目的や観点もさまざまであることが分かりますね。
そしてその規模は、日本編の記事でもご紹介したような、国単位で記念されるような比較的ローカルな広がりのものから、
ここでご紹介した記念日のようにグローバルな広がりをもつものまで、多種多様です。
ですがここできっと共通しているのは、大きくは私たち人類のもつ、どうぶつや自然に対する尊敬と愛情の心が根底にある、ということではないでしょうか。
ペットたちのように私たちの身近にいるどうぶつたちから、大自然のなかでたくましく生きる野生動物まで、私たち人間と共生する時間のなかで育まれた心、その表れが様々な記念日であるといえそうです。
こうした記念日のことを知ることで、きっと私たちの心の中にある、命の大切さやどうぶつたちへの慈しみの気持ちの大きさが再確認できますね。
そうした愛情や親しみは、私たちの心をもっと豊かにして、毎日を彩ってくれるでしょう。
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