古代魚のお話の時に、熱帯魚はペットショップやホームセンターなどでも売られるようになっており、誰にでも手軽に楽しめる身近なものとなっていることをお話しましたが、今回はその火付け役の淡水熱帯魚についてお話します。
海外より輸入する熱帯魚はもちろん、近年は国内でブリーディングがされたり、国内でも改良品種がつくられており、10年前よりも個性的できれいな熱帯魚がいます。
現代のように多くの人が熱帯魚を楽しめるようになった大きな理由は、古代魚と同様に飼育設備が過去と比較し進化したことや、飼育設備の入手難易度の低下やコスト面があげられます。
今回はその中でも現在人気の熱帯魚についてお話しようと思います。

熱帯魚とは
熱帯魚とは、水温25度から30度前後の淡水域・汽水域(淡水と海水が混ざりあうような場所)・海水域に生息する魚のことです。
現在日本で流通する熱帯魚の多くは観賞目的で販売されており、主な生息地は赤道周辺の熱帯地方や亜熱帯地方、温帯地方です。それぞれの地方に流れる河川は、山などの水源に近く海水を含まない場所を淡水域と呼び、海に近づくにつれて海水が入り交じっている場所を汽水域と呼びます。そして、海水域はもちろん河川ではなく海を指し、それらの環境に適した熱帯魚は細かく分けて淡水性・汽水性・熱帯性海水魚と分類されています。
熱帯魚の特徴
熱帯魚といわれる魚の大きな特徴というのはありません。大型になる生体から小型の生態まで様々ですが、傾向としては色鮮やかな生態が多いのが特徴かと思います。
熱帯魚の種類
近年人気の熱帯魚をその特徴と共に説明致します。
ネオンテトラ

熱帯魚の中では一番有名な魚になるかと思います。アマゾン川上流域原産の小型カラシンです。古くから入門魚として愛される熱帯魚を代表するポピュラーな種です。体の上部前から後ろへ入る鮮やかな青と赤は水草水槽に良く映え、群泳させたときの美しさは熱帯魚の中でも一段抜けている存在で、飼育に関しては温和でほかの魚との混泳にも適した種です。
東南アジアで大量にブリードされており、美しい、安い、丈夫と三拍子そろった、まさに入門魚といえます。
とても丈夫で飼育は容易な一方、繁殖をしようと思うとその難易度は極めて高いものであり、一般人が狙っての繁殖はほぼ不可能と言われているので、基本的には熱帯魚屋での購入となります。
体長は4㎝ほどが最大となりますが、22度から30度ほどの水温でも飼育は可能であり、飼育難易度は引くといわれていますが、それでも熱帯魚全般に言えることですが、水をきれいに保つための換水は必要となります。
ただし餌量は小型の体系であるため少なく、水を汚す餌や排泄物が少ないため頻度はそう多くなくても大丈夫です。
グッピー

こちらも熱帯魚の代名詞と言われるとても有名な熱帯魚です。
飼育・繁殖と共に非常に容易で、熱帯魚飼育の基本をすべて学べる熱帯魚といえます。
体長は4cm程ですが、性質の違いから大きく分けて外国産グッピーと国産グッピーに分けられます。
それぞれの違いは以下の通りです。
【外国産グッピー】
比較的安価でカラフル、輸入量も多く、ホームセンターなどでも見かけるグッピーです。
いろいろな柄のグッピーが存在するので、いろいろと見て気に入ったものを飼育すると良いでしょう。
【国産グッピー】
日本の水に慣れており、丈夫で飼育しやすく色柄も美しいグッピーです。
外国産と違い、ホームセンターなどで見かけることは少なく、グッピー専門店などや大型熱帯魚店での入手が基本となります。
どちらもたいへん丈夫な魚ですが、産地の異なるグッピーは特有の病気があるといわれている部分があり、国産グッピーと外国産グッピーの混泳飼育はあまり推奨できません。
グッピーは分類的にはメダカの仲間に属します。
メダカの仲間といっても、日本のメダカとの直接的関係はかなり遠く、プラティやモーリーなどと近い親戚になります。
尾びれが大きく、カラフルなグッピーは全て改良品種で、野生にはそのようなタイプは存在しません。野生のグッピーはオスでも尾びれが短く、体側に赤、青、緑などが少しだけ乗っている色彩になります。
原種はベネズエラに分布していますが、日本でも温泉地などを中心に帰化してしまった例がいくつかあり、在来種と餌や環境をめぐって競合することがあることから、今後においてその影響が心配されています。
一度飼育した生体を野外に放つことは、日本の生態系に悪影響を及ぼす可能性があるため、絶対にしてはなりません。
原種のグッピーはシンプルな見た目で、改良種と違いワイルドグッピーと呼ばれ、あえてこのような野生型のグッピーを好んで飼育する人もいます。

基本的に熱帯魚全般で野生の生体のことをワイルド種ということを覚えておくといいかもしれません。
グッピーは常に繁殖力が旺盛で、色鮮やかで大きな尾びれを持ち、尻びれが尖るものがオス、色彩はシンプルで尾びれが小さく、尻びれが丸みをもっているものがメスとなりますので、この特徴を知っていればオスメスの見分け方は出来ると思います。グッピーは繁殖力が旺盛で、オスメスの見分け方も比較的簡単なので、一般人が飼育していていつの間にか稚魚が生まれていることはよくあります。
ただし、十分な隠れ家がないと、せっかく産まれても親や他のグッピーが食べてしまい、思うように数が殖えないことがあります。
ベタ

タイ原産のラビリンスフィッシュ–ベタ・スプレンデス–と呼ばれる改良して作出された品種のことです。
オスメスで大きく容姿が異なっていて、オスは非常に美しく長い立派なひれが特徴的です。メスのひれは小さくコンパクトです。
このように容姿に差がある事から、観賞魚としてはオスの方が人気があります。
オス同士は激しく戦うことから闘魚と言われ、原産地では賭けの対象とされており、より強い血統を求めて品種改良がなされてきた歴史があります。日本の闘犬の歴史に近いものがありますね。
品種改良の過程で美しく観賞価値の高いものが生まれ、現在観賞魚としての主流になっているのはこのタイプのベタをベースとしたものになっています。
これらは「ショーベタ」と呼ばれ、古くから知られるトラディショナルと呼ばれるタイプの他、尾形によってダブルテール、クラウンテール、デルタテール、ハーフムーンといったタイプがあります。
体色は主に赤、青、黒、白、黄があり、これらの組み合わせによってさまざまな模様や容姿が見られます。また、年々品種改良が進み、毎年のように新しい品種が開発されています。
本来の目的とされた闘魚に用いられる改良品種は、尾びれが丸く小さいタイプで、こちらは原種に近い形態と強い闘争本能が魅力的です。
その他の特徴としてラビリンス器官という固有の器官を持ち、エラ呼吸だけでなくこの器官を用いることで直接空気中から酸素を取り込むことができます。
このため、酸欠に非常に強く、エアレーションのない水槽内でも問題無く飼育ができるのです。
熱帯魚屋さんなどで瓶に入ったまま飼育されているのを見かけることがありますが、このような特徴から可能となっているものであります。ただし定期的な換水は必要であることは他の熱帯魚同様必要となります。
原産地では、水田や池、水たまりのような溶存酸素の少ないところに生活しており、このような環境に適応するためにラビリンス器官を発達させたと考えられます。
エンゼルフィッシュ

こちらも熱帯魚の代名詞的存在で非常に有名な熱帯魚です。
飼育は比較的容易で、熱帯魚飼育を学ぶために適した種といえます。
体型や大きく伸びたひれが特徴的で、エンゼルフィッシュという名前からこの姿を思い浮かべる事ができる熱帯魚だと思いいます。
また、飼育環境に慣れると餌を求めて水面に口を向ける姿は飼育者に愛着を持たれる大きな理由かと思います。。
近年では、原種系以外にも改良されたさまざまな品種が流通しています。
分類的にはシクリッドの仲間に属しており、ペルー産の個体はプロポーションが良いことからペルーアルタムの名でワイルド(野生)個体が流通していて、美しい色彩と優雅な姿が魅力的な種です。
アルタムエンゼルフィッシュは他のエンゼルフィッシュと大きさでも異なっており、一般的なエンゼルフィッシュがヒレなど含め10cmから15㎝ほどになるのに比べアルタムエンゼルは25cmから30cmになるほど大きな差があります。
飼育も繁殖も比較的容易で、ワイルド個体でも水質の変化に強い傾向にあります。
繁殖は容易ですが、雌雄判別は困難です。繁殖を狙う場合は複数飼育し、自然形成されたペアを得る必要があります。
出来上がったペアは一緒に行動し、他の魚を追い払うようにテリトリー(なわばり)を主張するようになります。
ペアを形成してしばらくすると、最も安全で産卵しやすい場所を自分たちで探し、一生懸命に産卵したい場所を口で掃除します。一度に産む卵の数は500~700個ほどと言われていますが、無精卵や産卵場所に定着しなかった卵があるためその半分くらいが実際に目に入る個数かと思います。
産卵後は、親が卵や稚魚の世話をするので、魚に任せておいて問題ありません。
他のエンゼルフィッシュや若いペアは食卵してしまう場合があるので注意が必要です。
産卵をした後に電気を消し暗くすると、卵が危険にさらされると思い食卵をしてしまう事もあるそうです。
稚魚がふ化した場合、隔離する必要はありませんが、他の熱帯魚同様ブラインシュリンプを与える必要があります。
ふ化から数日はエンゼルフィッシュとは判別できないような姿をしていますが、10日もすればエンゼルフィッシュだと分かる姿になります。
コリドラス

コリドラスは、南米に広く生息するナマズに近縁な小型熱帯魚です。
非常に数多くの種類が知られ、現在200種類に近い品種が知られています。
コリドラスは古くから通常個体は赤コリ、アルビノ個体は白コリとして親しまれてきた種です。東南アジアからのブリード個体がコンスタントに輸入され、数はすくないですが野生個体も見られます。
野生個体は産地によって様々な地域変異が見られ、ロングフィン(ヒレが長い品種)などの改良種も良く知られます。飼育は容易で繁殖も比較的容易に狙えることから熱帯魚の入門種に適しています。
しかしながら、ナマズの生態に近いため泳ぐというよりは床面を移動している様な生態になります。
この様に多様な品種がいることからコリドラスをメインに飼育する愛好家も多いですが、床面に届いた餌を食べる習性を活用し、他の熱帯魚と混泳させる中で、食べ残した餌をきれいにしてもらう役割として飼育している人も多いかと思います。独特なスタイルをしていて可愛いと表現するのが適しているのかわかりませんが、愛好家が多い事から好きな人にはたまらない魅力があるのでしょう。
飼育の方法とその設備

熱帯魚も海水魚や前述でお話しした古代魚と同じで飼育方法に特別なことは何もありません。
水槽とその水槽を支える水槽台、そして水を濾過する濾過装置、熱帯魚ならではのヒーター、あとは水があれば飼育はできます。水道水にはカルキ(塩素)が入っているために魚のエラをダメにしないように塩素を除去しなければなりません。
この中でおそらくほとんどの人が疑問に感じるのは濾過についてだと思いますが、ろ過については古代魚の回でお話しをしているので詳しくはそちらをご覧ください。
https://petaisousya.co.jp/column/post-28528/
古代魚と比べると初期投資の面や生体の価格、そして飼育難易度が低いことから近年は小さな水槽でおしゃれな水草を楽しみにながら飼育している人も多いと聞きます。
このように近年の熱帯魚ブームの中で熱帯魚についてお話をしましたが、皆様も興味を持たれましたら一度熱帯魚を扱うお店に足を運んでみて下さい。
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