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2025.12.6 コラム

冬眠のススメ

寒い冬の日が続くと朝起きるのも辛くなってきますね。そんなとき、ぬくぬくの布団の中で「冬眠出来たら幸せ~」と思いますよね。本当に冬眠する生き物たちはどのように冬眠しているのでしょうか。冬眠のヒミツを探ってみましょう。

冬眠する生き物として皆様が想像した動物はクマさんやカエルさんでしょうか?冬の間クマが穴の中で丸くなりぐっすりと眠っている姿は想像しやすいですね。土の中でじっと春を待つカエルがイメージの中にある方も多いのではないでしょうか。どのような生き物がどのようにして冬眠をするのか調べてみましょう。

冬眠する動物として哺乳類ではクマ、リス、ヤマネやコウモリが挙げられます。爬虫類や両生類ではヘビ、カエル、カメなども冬眠をします。昆虫ですとチョウやハチなども冬眠をします。

それぞれで冬眠の仕方も違うようですので調べてみました。

クマの場合・・クマは世界中に生息していますが大きく分けて8種類存在しているそうです。その中で日本に生息しているクマは「ツキノワグマ」と「ヒグマ」です。ツキノワグマは主に本州と四国が生息地でヒグマは北海道に生息しています。主な生息地は森林ですが近年では森林の伐採などで生息地を追われたクマが人里に降りてきているのはニュースでもご存じと思います。クマは主に雑食ですが好んで食べるのは木の実や果実など植物をメインに食べるそうです。春は山菜や木苺、夏は昆虫や木の樹液なども食べているのが確認されているそうです。秋にはドングリや柿などの果実を食べ栄養を蓄えますが冬は主な食糧である果実や昆虫などが少なくなり、十分な餌を得ることが難しくなります。そのためエネルギー消費を抑え、食料の少ない冬を乗り越えるための冬眠をするのです。食料の乏しい厳しい冬を乗り切るための知恵なのですね。

冬眠中のクマは一見すると死んでいるように見えるほど静かだそうです。通常の活動期の体温は37~39度ほどで保っている体温は冬眠中には31~35度くらいの体温を保って過ごします。低い体温と思うかもしれませんがリスなどは冬眠中の体温を5度以下にまで下げることもあるのでクマはとても高い体温を保ったままで冬眠をしているのです。そのため、ぐっすり深い眠りにつくのではなく浅い眠りになり、大きな音などで起きてしまうそうです。この様子から冬眠ではなく「冬ごもり」と表現することもあるそうです。

地域やその年の天候などでも変わってくるようですが11月下旬から翌年の4月頃までの長い期間を巣穴の中で冬眠します。巣穴は木の洞だったり岩穴だったり、時には地面に掘った穴で冬眠をしたりと冬でも快適に過ごせる場所を選んでいるようです。約半年の間、餌も水分も取らず排泄もしないので秋のうちにエネルギーを貯めておかなければならないので冬になる前にたくさんの餌が必要になります。カロリーの高いドングリや栗などをたくさん食べてたっぷりと体脂肪をつけ冬眠時に少しずつ消費するのです。長い期間動かずに過ごすと人間は筋力が衰えてしまいますがクマの場合は冬眠中でも筋肉が衰えない仕組みになっているそうです。どうやら筋肉を構成しているタンパク質の働きを抑制させて、いわゆる「省エネモード」にして春になってもすぐに動ける体を維持しているのだそうです。実はこの冬眠中に出産子育てをするクマもいるというので驚きです。何も食べず飲まずのこの期間に出産を行うには理由があるようです。ヒグマの場合は体脂肪率が20パーセント以上ないと妊娠をしないようにできているのだそうで、秋に蓄えた栄養が足りなかった場合は余分なエネルギーの消費をしないようにというメスグマを守る仕組みなのだそうです。冬眠中は巣穴の中にずっといるので赤ちゃんクマを外敵から守ることも出来ます。生まれたての赤ちゃんクマは目も開いていなく体を守る毛も生えていません。大きさにするとヒグマの場合ですと生まれたての赤ちゃんクマは400~500グラムほどしかないのです。大人のヒグマは体重が数百キロほどなので、どれだけ小さいか驚くほどです。クマの妊娠の仕組みも冬眠することを前提に「着床遅延」という冬眠を待ってからの妊娠をするのです。実際に着床してからの妊娠期間は約2ヶ月と短く、さらに小さく出産することで母クマの体の負担を減らしていると考えられています。生まれたては人間の手のひらに乗ってしまうほどの小さな子グマですが成長が早く数ヶ月で数キロまで大きくなります。

近年では冬眠をしないクマの目撃が増えているといわれています。地球温暖化の影響で気温の上昇により冬でも十分な食料が得られる環境になり冬眠する必要が薄れている可能性があるそうです。また、人間によりクマの生息環境が変化して冬眠のサイクルが乱れているのが原因との可能性もあるようです。いづれにしても冬眠をしないとどのような影響があるのでしょうか。クマが冬眠をしないということは食料を求めて動き回るということです。温暖化で食料があるといっても山の中だけでは足りず人里まで下りてきて農作物被害や人との接触による事故のリスクが高まります。クマ自体の生態系へのバランスの変化も心配されています。また山での騒音などで冬眠から目覚めてしまう場合もありますので、冬の期間でもクマの生息地では注意が必要です。途中で目覚めてしまったクマは、まだ冬が厳しい時期であれば再び冬眠に入る場合もありますが、起きてしまったことで体力の消耗や栄養不足、ストレスによって免疫力が低下し病気になってしまう可能性もあるそうです。世界にはもともと冬眠しないクマの種類もいるそうで、南米のメガネグマ、中東などに生息するマレーグマ、インドなどに生息しているナマケグマや有名なジャイアントパンダも冬眠をしないクマとして知られています。冬眠する理由の一つである餌が通年通して確保できる環境に生息しているから、なのだそうです。

カエルの場合・・カエルやヘビなどは変温動物なので外気温に大きく影響されます。寒い冬が近づくとほとんどのカエルは寒くて厳しい環境を乗り越えるために冬眠をします。冬眠場所は種類や生息環境によって異なりますが、主には土の中や落ち葉の下などで暖かくなる春を待ちます。オタマジャクシの状態で冬眠する場合や水中で生活する種類はもちろん水の中での冬眠になりますが気温が安定する場所を選ぶようです。人間やワンちゃんネコちゃんのように自分の体内で熱を作り出し体温を一定に保つことが出来る恒温動物とは違い、変温動物の体温は自分で体温を保つことが出来ないために、日光浴をして体温をあげたり暑い場所では体温を下げるために涼しい場所へ移動をしたりと気温によって行動が異なります。低い体温では活動が鈍ってしまうため冬の気温の低い期間の活動が困難になります。その時期を冬眠や休眠という行動で乗り切るのです。一見すると不便と思われがちな変温動物ですが、そのメリットも大きく、熱を生み出すには多くのエネルギーを消費しますが体温を一定に保つ必要がない変温動物は少ないエネルギーで生きていくことが出来ます。また、外気温に合わせて体温を変化させることが出来るので様々な環境にも適応することが出来ます。では冬眠中のカエルの様子はどのようにして過ごしているのでしょうか。冬眠中のカエルもクマさんと同じようにじっと静かに眠っています。ただクマさんとは違い代謝が大幅に低下して心拍数も遅くなります。それに伴い呼吸も浅くなり体温も外気温に合わせた低い温度を保って冬眠します。活動期に蓄えた脂肪をエネルギー源として冬眠中は極力エネルギー消費を抑えて過ごします。そのため冬眠中はとてもデリケートな状態なので触られたり場所を移動されたりすると生きていけない事がありますので、むやみに触ったりせずそっとしておきましょう。

春、冬眠から目覚めるタイミングは気温の上昇やカエルの体内時計によって目覚めると考えられています。春はどの動物や植物にも待ち遠しい季節なのですね。

このように冬眠する動物は自然界の中、と思われがちですがペットちゃんの中にも冬眠してしまう子もいるらしいです。ハムスターやハリネズミ、カメや一部のリスなどは冬眠をしてしまう事があるそうです。ですが実はペットとして迎えられている動物さんたちの冬眠は一般的に推奨されていません。ご飯の量が決まっているので冬眠前に充分な栄養を蓄えていない場合は餓死の恐れがありますし、冬眠中の身体の負担が大きく寿命が短くなってしまう恐れがある事、また冬眠中に免疫力が低下するために病気にかかりやすくなってしまう事などの理由があるのです。ハムスターやカメなど冬眠をする動物さんたちをペットちゃんとしてお迎えしている場合は冬の期間の温度管理を適切にして、冬眠させずに暖かい環境で過ごさせてあげましょう。

ハムスターの場合・・ハムスターは「冬眠様状態」という冬眠と似たような状態になることがあるそうです。気温が低かった場合や体調が悪い場合などに起こることがあるそうです。この状態の特徴としては活動量が低下して寝ている時間が長くなったり体温が下がるなどがあります。この状態を防ぐために温度管理を18℃~24℃程を保ち、定期的な運動と栄養バランスのとれた食事、静かで明るく清潔な環境を整えてあげましょう。万が一、冬眠と似たような状態になってしまいましたらすぐに動物病院へ相談しましょう。

ハリネズミの場合・・一般的にペットとして迎えられるハリネズミの種類は「ピグミーヘッジホッグ」と呼ばれるヨツユビハリネズミですが、原産国はアフリカで冬眠をする必要のないところの出身です。冬眠はしませんが気温が低すぎると冬眠のような状態になってしまうことがあります。寒すぎると低体温症という状態で動きが鈍くなったり丸まって動かなくなったりします。また、極端に寒すぎると仮死状態、一時的に呼吸や心拍が止まるような状態になることがあります。これらの状態は冬眠とは全く異なる状態ですので動物病院での指示を仰ぎましょう。ハリネズミは低温に弱いので適切な温度管理で快適な環境を用意してあげましょう。

カメの場合・・カメは変温動物なので周りの温度によって体温が変化します。冬の寒い時期は体温も低下し活動が鈍くなり冬眠に入るカメもいます。すべてのカメが冬眠するのではなく、クサガメやイシガメなど日本の気候に適している種類は冬眠する傾向があり、熱帯地方原産のリクガメやミズガメなど暖かい地域に生息する種類は冬眠しません。なので冬眠をさせるかどうかはカメの種類や個体の健康状態、飼育環境によって異なるそうです。

冬眠のメリットとしては野生に近い状態で飼育できるので寿命が延びる可能性があること、デメリットしては冬眠中に亡くなってしまうリスクがある事、体力の消耗が激しく冬眠から覚めた時の復活に時間がかかる事などが挙げられます。一般的には特に小さなカメや病気を持っているカメは冬眠させない方が安全といわれています。冬眠させる場合は冬眠前にしっかりと健康チェックをして高栄養の餌を与えて体力をつけさせましょう。冬眠の場所を用意することも忘れてはいけません。隠れ家となる場所をつくり水温は10℃前後で保ちます。冬眠中はそっと見守ります。ただし、異変に気付いたら暖かい場所へ移動させ動物病院へ相談しましょう。冬眠から目覚めたカメは弱っているため、ゆっくりと環境に慣らしてあげましょう。最初は少量の餌から始め徐々に量を増やしていきます。冬眠をさせない場合は室温を20℃以上に保ちヒーターなどを利用して水温を一定に保ちましょう。カメの冬眠は自然な現象ですが飼育下ではリスクも伴いますので、よく検討して場合によっては動物病院へ相談することもおすすめいたします。

ネコちゃんの場合・・室温が低い場合、なかなか寝床から出てこなくなることがありますが冬眠ではありません。が、ぬくぬくの暖かい場所を好むのは人と同じです。ふわふわの毛で覆われている寒さに強いとされている種類の子もいますが、暖かい環境を好みます。ペットヒーターなど暖房器具も種類がたくさんありますので上手に利用しましょう。ネコちゃんの毛が焦げてしまったり低温火傷をしないようにご注意ください。

ワンちゃんの場合・・ネコちゃんと同じように室内で暖かい環境に慣れてしまってなかなか外へ出たがらないワンちゃんもいる事かと思いますが冬眠ではありません。適度な運動がワンちゃんはもちろん飼い主さんのストレスの軽減にもなりますのでお天気の良い日は思い切ってお散歩などをしてみるといいでしょう。飼い主さんの防寒対策や寒さに弱い種類のワンちゃんもいますので寒さ対策はしっかりおこないましょう。

 

いかがでしたでしょうか。冬眠といってもぬくぬく寝ているだけではないようです。体の中ではとても過酷な仕組みで冬眠をしていることがわかりましたね。いつまでも眠っていたい時期ですが、規則正しい生活が人にとってもペットちゃんにとっても大切となります。また朝日を浴びることでビタミンの生成や体内時計の調整が出来たりセトロニンの分泌促進で気分転換やストレスの軽減になりますので、冬の時期のなかなか出られないお布団ですが頑張って脱出しましょう。

 

 

ペット愛葬社 寺嶋

 

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