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2026.2.14 コラム

毒を持つ生き物

私たちの住む日本の豊かな自然の中には美しい姿をしているにも関わらず、私たちの知らない毒を持つ生物が数多く生息しています。これらの生物たちは長い進化の過程の中で身を守るために「毒」という強力な武器を手に入れました。今回はそんな毒を持つ生物について、その種類や特徴、そして人間との関りなどを一緒に調べてみましょう。

両生類
イモリ・・日本のイモリは皮膚から毒性の強いテトロドトキシンを分泌するイモリがいます。この毒はフグの毒としても知られていますので耳にしたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。この毒は神経系に作用して呼吸困難や麻痺を引き起こすことがあります。日本でイモリと呼ばれているのはほとんどが「アカハライモリ」という種類のイモリです。そもそもイモリって?ヤモリとの違いは?と思っている方も多いと思います。漢字にするとイモリは「井守」と書き井戸を守ってくれる、ヤモリは「家守」と書き家を守ってくれるとの事から名付けられたようです。その漢字の通り家に居るのはたいていヤモリで水辺にいるのはたいていイモリなのだそうです。よく窓ガラスに張り付いているのはヤモリなのですね。イモリは両生類でヤモリは爬虫類という大きな違いもあります。ヤモリは昆虫などを捕食してイモリは水生昆虫や小さな魚などを捕食します。どちらも人にとっては害虫を食べてくれる益虫ですので見かけたらそっとしておきましょう。「アカハライモリ」は名前の通りお腹が赤く水辺や湿った場所を好み水中と陸上のどちらでも生活が出来ます。お腹が赤いのは警告色で「毒がありますよ!」と他の生き物に知らせて自分の身を守っているのです。フグと同じ毒を持っているなんて恐ろしいし危ない!と思うかもしれませんが今のところイモリの毒での死亡例は報告されていません。というのもテトロドトキシンは青酸カリの約1000倍の毒性という猛毒ですがイモリの持っている毒がどうやら薄いようなのです。イモリの皮膚から分泌されるこの毒は、触れただけでは中毒になりませんが毒の成分としては熱でも消滅しない毒なので傷口や目、口など体内に入らないように注意をしましょう。イモリを触ったら必ず手洗いが必要です。もし、このアカハライモリをワンちゃんやネコちゃんが食べてしまった時や咥えてしまった時にはすぐに動物病院へ連れていきましょう。両生類でテトロドトキシンという毒を持っているのはアカハライモリだけなのだそうです。

サンショウウオ・・一部のサンショウウオには皮膚に粘膜状の毒を持っていて触れると皮膚炎を引き起こすことがある種類もいます。サンショウウオというと「オオサンショウウオ」をイメージする方もいると思いますが日本に生息するサンショウウオは約40以上もの種類がいるのです。他の種類があまり知られていない理由はオオサンショウウオと比べてはるかに小さいのです。オオサンショウウオは体長が1メートルを超える世界でも最大の両生類ですが他の種類は10~15cm程と小さく、隠れるように生活をしているのでなかなか見つかりません。多くの種類は一年のうちほとんどを水の流れている所の石の隙間や林などに積もっている落ち葉の下に隠れて暮らしています。なかなか人目に触れることがないのですがサンショウウオの卵は見たことがある方もいるかも知れません。春先の水辺にクルクルと丸まっているゼラチン状の袋の中にたくさんの卵が入っているのを見かけたことはありませんか?そのような透明なソーセージにも見える不思議なものを見かけたらそれはサンショウウオの卵です。その時期は姿を見せるので滅多に見られないサンショウウオを観察するチャンスです。しかし、サンショウウオは素手で触ってはいけません。サンショウウオは冷たい水の中で快適に過ごせる生き物なので人間の体温で触ってしまうと手の熱で体が弱ってしまうのです。サンショウウオのサンショウとは「山椒のような味がする」からとも言われています。危険を感じると皮膚から痺れるような粘液を分泌するのです。サンショウウオを食用にしている地域もありますので食べても影響の少ない毒なのでしょうけれども、不明な物は食べないことが一番です。


マムシ・・日本での毒ヘビというとこの名前が出てくると思います。皆様ご存知のマムシ。毒ヘビの毒にも種類があって出血毒と神経毒、そして筋肉毒などに分類されるそうです。マムシの毒は出血毒で、構成する成分はプロテアーゼ、ホスホリパーゼA2など多様なのだそうです。出血毒が主な成分なので噛まれると出血を引き起こし、組織破壊作用も働き、筋肉や体の組織を壊死させて痛みや腫れを引き起こします。マムシの毒牙は上あごの先端に2本あります。獲物が近づくとこの牙で素早く咬みつき毒を注入します。好んで捕食するのはネズミなどの小動物です。小動物はこの毒牙にかかるとたちまちのうちに毒が回り弱ってしまいます。マムシはゆっくりと獲物を食べることが出来るのです。臆病な性格なので人間を積極的に襲うことはありません。身を守るために仕方なく噛みついてしまうのです。小動物とは違い人間の大きさですと噛まれてすぐに即死することはありませんが、日本におけるヘビの咬傷での死亡のほとんどはマムシによるものです。ではマムシに噛まれると体内でどのようなことが起こるのでしょうか。噛まれた瞬間に毒が体内に入り込みます。その毒はリンパ管を通ってリンパ節に運ばれます。リンパ管から血液中に毒が移行し全身に広がります。広がった毒は全身の血液に乗って様々な臓器に到達します。その時、噛まれた体では熱いと感じるような激しい痛みが生じます。次に噛まれた部分が赤く腫れ始めます。噛まれた周辺に青あざのような皮下出血が広がります。水ぶくれのような水疱が出来ることもあるそうです。リンパ節の腫れを感じる事もあります。そして全身症状として発熱、寒気、頭痛、吐き気、めまいなどの症状が現れるそうです。しかしこの症状の進行は個人の体質や噛まれた場所、注入された毒の量などで個人差が大きいそうです。噛まれてもあせらず冷静に対処しましょう。まず、噛まれた部分を心臓より下に保ち安静にします。患部を冷やすことで毒の拡散を遅らせることができるそうです。患部を締め付けてしまうと毒が早く回りやすいので締め付けないようにしましょう。そして、できるだけ早く医療機関を受診し適切な治療を受けることが重要です。

ヤマカガシ・・昔は無毒と言われていましたが、今は毒ヘビとして知られています。実は猛毒でマムシやハブに比べても毒性が高く危険だということが分かっています。無毒と思われていた理由は、ヤマカガシの毒牙は小さく、口の中の奥にあるためにちょっと噛まれた程度では毒が体に入らず症状が出なかったためだといわれています。実際には過去50年程でヤマカガシに噛まれた事が原因とされる死亡例は5件発生しています。毒の成分について詳しい事はまだわかっていないそうですが主な毒の成分はトロンビンアクチベーターが主だそうです。ヤマカガシは毒を二つ持ち合わせています。一つは毒牙から注入する毒。もう一つは自分の身を守るために首の近くから出す毒で危険を感じると毒腺から毒を出します。。噛まれた時の毒は歯茎からの出血や古い傷からの出血、皮下出血が起きやすいのですがマムシに比べて痛みや腫れの症状が比較的軽いのが特徴です。噛まれた傷口は牙の痕が2か所あればヘビによる咬傷、痛みや腫れがある場合はマムシの場合が多く痛みや腫れが軽度で皮下出血がある場合はヤマカガシの可能性が高いと推測されます。しかし毒性は強く、マムシの3倍程もあるそうです。しかしながらヤマカガシの毒には直接体の組織を損傷させる力はなく、血液の凝固が起こり体のあちこちで血栓ができ、出血が起こりやすくなるのが主な症状だといわれています。ただ、激しい頭痛を伴う場合もあり、急性腎不全や脳内出血を引き起こすこともあるそうなので慌てず落ち着いて対処をしましょう。噛まれたからといって即死することはありません。何度も噛まれることのないよう、安全な場所を確保し適切な処置を施したのち、自己判断をせずに速やかに医療機関を受診しましょう。


スズメバチ・・スズメバチの毒の成分は一つではなくいくつかの毒の成分で構成されています。ヒスタミンという成分でかゆみや腫れを引き起こし、セロトニンという成分は痛みや炎症を引き起こし、さらにはキニンという血管を拡張させて腫れを悪化させる成分やフォスホリパーゼという細胞膜を破壊して体の組織を損傷させる成分まで持ち合わせている種類も存在します。このように複雑に作用しあう成分で、刺されたときに様々な症状が現れるのです。最も恐ろしいのはアナフィラキシーショックという、体内に入った毒の成分から体を守るために過剰に反応してしまうアレルギー反応です。呼吸困難や血圧低下、または意識障害などの症状がある場合は生命に関わる危険な状態ですので速やかに救急車を呼び医療機関の受診が必要です。スズメバチに刺されないために、巣を見つけた場合は近づかない刺激をしない、そして無理に自分で駆除しようとせず専門の業者に依頼しましょう。スズメバチは攻撃してくる前に警戒や威嚇をしてきます。うっかり巣に近づいてしまった場合でも慌てずゆっくりと行動をしましょう。気を付けていても万が一刺されてしまった場合は必ずその場から離れましょう。スズメバチは集団で攻撃してくる習性があります。安静にして患部を冷やし医療機関を受診しましょう。


毛虫・・チャドクガという蛾の幼虫は体に無数の毒針毛があります。この毒針毛が皮膚に触れると激しいかゆみを引き起こします。発生する時期は5~6月と8~9月でツバキやサザンカなどツバキ科の植物の葉を食べて育ちます。木の選定や庭の手入れをする際に刺されることがあります。幼虫は2cm程の黄褐色をしています。体中に生えている毒針毛は幼虫だけではなく卵や抜け殻、そして死んだ幼虫にも付着していて、時には風によって毒針毛が飛散することもあるそうです。庭の手入れをする際には皮膚を露出しない服装をするなど注意が必要です。また衣服に刺さった毒針毛は洗濯で洗い流すことが出来ますが一度では取り切れない場合があるのと、他の洗濯物と一緒にしてしまうと毒針毛が付着してしまう事があるので、まずは粘着テープなどで取り除き単独で数回の洗濯をおすすめします。刺されてしまった場合も皮膚に付いた毒針毛を粘着テープなどで丁寧に取り除き、冷水などで患部を冷やします。刺された箇所を掻くと症状が悪化することがあります。市販のかゆみ止めなども症状を軽減できますが、症状がひどい場合は医療機関を受診しましょう。重症になると水疱や発熱、リンパ腺の腫れなどの症状がでることがあるそうです。鳥などの天敵から身を守るチャドクガの、いわば防護服のような働きをしていますが非常に細く鋭い毒針がアレルギー反応を引き起こす成分のヒスタミンという毒成分を注入し炎症反応を起こします。見つけた場合は素手では触らず毒針毛に注意して駆除しましょう。

今回紹介したのは一部の生物の毒で、身の回りにはまだまだ毒を持つ生物が存在しています。近年は輸入の際の荷物に紛れて侵入してきた日本に生息していなかった外来の生物にも毒を持っている、ヒアリやセアカゴケグモなども報告がされていますので見慣れない生物には注意が必要です。むやみに恐れるのではなく正しく理解し、適切な対処が必要となります。

 

ペット愛葬社 寺嶋

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