「事実は小説よりも奇なり」という言葉は、人間のことだけでなく、動物の世界でも例外ではありません。自然界やペットにまつわる話には、まるで小説や漫画の設定のような出来事や事件がたくさんあります。動物たちの行動や生態は、時にそのメカニズムを超えるような驚きをもたらします。
異なる種族間の友情や、危険を冒して仲間を助ける姿、または全く予期しない行動を見せることなど。もちろんその中には私たち人間も含まれています。
自然界では、動物たちが生き残るために見せる知恵や工夫の結果として驚異的で、時に奇跡的な出来事が日々繰り広げられています。ペットにおいても、飼い主との深い絆や、誰も知らなかった才能や習性を持つ動物たちの話が語られています。
今回は自然界やペットにまつわる話から、まるでフィクションの設定の様な出来事や事件をまとめていきます。
・ペットに遺産相続
まず最初は、自分の飼っていたペットに遺産を相続したという話です。これだけ聞くと「どのくらい?」「どうやって?」といった疑問が次々と浮かび上がる事でしょう。
実際にあった例としては、「2020年、アメリカのテネシー州に住む8歳のボーダー・コリーが、飼い主の遺産約5億2000万円を相続した」、「ニューヨーク州に住むセレブの遺産約1113万円を、猫、犬、亀やオカメインコが相続した」など種類や金額を問わず様々です。最も大きな額となると約14億円もの遺産を相続したという話も!
アメリカでは法的にペットの遺産相続が認められており、自らの莫大な資産を愛するペットの為に遺したいと考える人も多いようです。もちろんペットたちだけでは遺産を使う事は出来ないので、世話を託す人間や、そのお世話の為に必要な事柄を事細かく記した遺言状を作成するそうです。しかし遺産関係、しかも額が莫大な物であればある程トラスブルの種というのは大きくなっていきます。実際海外でも巨額な遺産を親族ではなくペットに相続させる事、その後の世話、生活についての問題は起きています。
ちなみに日本はどうなのかというと、法的には物であるペット動物には相続権がありません。しかし現在はペットであっても家族の一員であるという考え方も多くなっており、そういった方の為の制度も存在します。生前に契約を結んだり、ペット信託などの利用など、手段も様々あるようなので、興味のある方は一度調べてみてはいかがでしょうか。
・会話するゴリラ、動物が持つ感情
手話で人と会話をするゴリラのエピソードもあります。ローランドゴリラのココは、アメリカの言語学者によって手話を教えられ、言葉にして2000もの単語を学習していたとか!
さらに驚くべきことに人間に近い感情を理解し、伝える事が出来ていました。ペットの猫を慈しみ、亡くなった時は悲しみ、死という概念すら理解していたと言います。(彼女が「死んだゴリラが何処へ行くのか」と聞かれた際は、「苦痛の無い 穴に さようなら」と答えたとか)
動物というのは我々が考えているよりも感情的で、それを伝えるツールも備えています。例えばミツバチは、暗い場所でも仲間に花の位置を教える為に飛び回ってダンスをします。また花の位置だけでなく、天敵であるスズメバチが来た際にもダンスで仲間に知らせていると言われています。身近にいる犬や猫も、同じ鳴き声でも吠えたり、唸ったりと様々な鳴き方で仲間や家族に自分の意思を伝えています。
動物も動物同士で会話をする。一見ファンタジーのようにも思える事も、彼らにとっては当たり前で、日常的に行われている事のひとつなのかもしれません。
・ヨウムの証言が解決させた事件
アメリカのミシガン州で、夫婦が銃で撃たれた事件が起きました。夫は死亡、妻も怪我を負った痛ましい事件でしたが、犯人捜しは難航。迷宮入りと化していました。その事件を解決へと導いたのが、夫婦の飼っていたヨウムだったのです。
事件後は夫の実家に引き取られていたヨウム。なんと彼は事件当時の会話を覚えており、男女の会話も自らの声の高さを使い分けることで真似ていたとか。ヨウムの真似た会話から事件は進展を迎え、夫婦との間に金銭でトラブルがあったことが判明。被害者と思われていた妻が犯人として浮上、逮捕されました。
元々オウムは家族想いで、とても寂しがり屋です。これは言い換えれば愛情深いということであり、幼少期から育てられれば良く懐き、家族の為に尽くします。あるところでは犯罪組織がオウムを飼っており、警察が来た時にメンバーに知らせる見張り役として使われていたケースも。彼らの持つ知能の高さ、そして愛情深さが分かるエピソードでした。
・猫の駅長
なんと猫が駅長を務めた話もあります。それは和歌山県の貴志川線貴志駅で活躍した「たま駅長」で、2007年に駅長に任命されました。たまの登場により、貴志川線は一躍注目を集め、観光客が増加し、地域経済の活性化にも貢献しました。
その経済効果はなんと11億円(!?)ここまで有名になったのは、その愛らしい姿と、訪れる人々との触れ合いによるものでしょう。駅長帽を被ったたまは穏やかな性格と人懐っこさで多くの人々の心を魅了し、自らの勤務を忠実に果たす姿はSNSやメディアで広く取り上げられ、一大ブームを巻き起こしました。
現在たまちゃんは名誉永久駅長として、貴志駅構内の「たま神社」に祀られています。しかし猫の駅長という仕事は今も続いており、「たまII世駅長」を襲名したウルトラ駅長「ニタマ」、また伊太祈曽駅長を勤めるマネージャー駅長「よんたま」が、先代駅長の遺志を継いでいるそうです。
和歌山電鐵株式会社のホームページにも彼らのプロフィールが載っているので、一度見てみるのも面白いのではないでしょうか。
余談ですが、弊社の事務所にも看板猫が業務に勤しんでおります。お立ち寄りの際はぜひ会いに来てください!
・イルカと救助
皆さんもご存知のイルカ。やはり印象としては「賢い」、「思慮深い」というイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。
1988年、ジャワ島南西沖で転覆した船の乗組員を、イルカが近くの島まで誘導していたことが確認されていたり、オーストラリアやニュージーランドでは、サメに襲われた人間を守ったり、時には撃退していたなんてことも。このように、世間のイメージと同じ様に、イルカは賢く、優しい一面がたしかにあるように見えます。
イルカの助け合うという行動は、実際のイルカの社会でも見られます。生まれたばかりのイルカは、母親とメスのグループの中で過ごし、母親同士がお互いに子供の面倒を見ながら餌を捕ったり、寄り添って泳ぐそうです。
では何故、同族でもない人間を助けようとするのか。これにははっきりした理由は分かっていませんが、好奇心で近づいたことで結果的に助かる形となった、単なる気まぐれ、弱っている生き物への同情、哀れみから助けたなどが挙げられているようです。しかし、いずれにしろ、そこには彼らなりの意味のある行動であることはたしかだといえるでしょう。
逆に人がイルカを助けるという話ももちろんあります。2023年でも、千葉県で30頭以上のイルカが打ち上げられているのを地元のサーファーらが救助していました。こういった地元のサーファーや水族館、保護団体によるイルカの救助活動は世界各地で行われています。
時に助け、時に助けられる。人とイルカは、種族こそ違えど、ある意味同じ存在といえるでしょう。イルカが人を助ける理由も、案外人がイルカを助ける理由と変わらないのかもしれませんね。
・アリの農業
中南米に生息するハキリアリは、なんと「農業」をする世にも珍しいアリです。彼らは文字通り葉を切り、それらを巣に運んでキノコを栽培するのです。その過程でも、道中は他の兵隊アリがパトロールし、さらに農場に侵入する病原菌対策に、農薬の様な役割を持つ抗生物質を用いるなど、やっていることはまさしく私たちが行う農業そのものといっても過言ではありません。しかしハキリアリの農業はなんと5000年前から続けられており、人間よりはるかに古くから農業を営んでいる、まさにパイオニア的存在なのです。
例えば日本のシイタケは、明治時代に栽培方法が確立されたが、それまでは全て運任せで行われていました。そう考えると、ハキリアリの持つ栽培方法、そしてそれらを太古の昔から完成させていたことの凄さが伝わってきます。
我々が便利に使いこなしている道具や乗り物も、元は動物や昆虫の習性、特徴を模倣し、作り上げたものも数多く存在します。
生き物というのはどれも、生きていくために洗練されており、時に人間以上の早さや効率的な手段を発見していることもある、そんなことがよくわかるハキリアリの能力でした。
・まとめ
今回、様々な動物に絡めて意外な出来事や事件を紹介しました。これらのエピソードは場所や内容も様々でしたが、彼らが持つ愛情や思慮深さについて気づかされました。動物たちは、私たち人間が想像する以上に複雑で感情豊かな存在です。彼らの行動や反応には感情があり、深い愛情や思いやりがなければ起こりえないことです。例えば、仲間を助けたり、危険を冒してでも家族を守る様子は、私たちにとって感動的に、時に奇跡的に映る事でしょう。
また、動物たちが見せる思慮深さには驚かされることもしばしばです。今回のオウムやヨウムの様に、彼らは環境や状況に応じて賢明な判断を下し、時には人間よりも優れた選択をすることすらあります。そのようなエピソードを通じて、私たちは動物たちと共に生きていくことについて改めて考えることも必要となる事もあるでしょう。
これらを知ることで、彼らとの絆や理解も一層強まることでしょう。動物たち様々な事を学んでいる様に、私たちもまた彼らから学ぶべきことを感じるのではないでしょうか。
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